融資で希望額を獲得するために重要なこととは?~融資審査で必ずおさえるべき6つのポイント~

事業を始めるにしても、成長させるにしても、「融資」は中小企業や個人事業主にとって重要な資金調達手段です。しかし、金融機関から融資を受けるには、当然ながら書類や面接の審査をクリアしなければなりません。本記事では、創業期から成長期に至るまで、融資審査に通るために押さえておくべき6つのポイントを体系的に解説します。

目次

融資審査で必ずおさえるべき6つのポイントとは

融資審査で必ずおさえるべき6つのポイントは、下記となります。

  1. 融資審査の全体像
  2. 創業期融資の審査ポイント
  3. 成長期の融資の審査ポイント
  4. 事業計画書の作成要点
  5. 審査通過を左右する“人物評価”
  6. 金融機関の選び方と関係構築

それでは詳しく解説していきます。

融資審査の全体像

まずは、融資の申込から契約までの流れを大まかに把握しましょう。

【基本の流れ】

  1. 融資申込(面談・書類提出)
  2. 書類審査
  3. 面談(必要に応じて)
  4. 審査通過・内定
  5. 契約・入金

この一連のプロセスで特に重要なのは、書類の整備と面談での信頼構築です。事業計画が曖昧だったり、整合性が取れていなかったりすると、審査に悪影響を及ぼします。準備段階から計画的に進めることが重要です。

創業期融資の審査ポイント

創業期の融資、たとえば日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や自治体の制度融資は、担保・保証人なしでの申請もできることが特徴です。しかし、審査では各項目厳しく見られます。審査においては以下のような点が重視されます。

自己資金と準備状況

創業融資では、総事業資金の30%以上の自己資金が求められるのが一般的です。見せ金ではなく、通帳履歴などを通じて、継続的に蓄えてきたことが証明できるかどうかが重要です。また、開業に向けた具体的な準備(物件契約、設備選定、仕入計画など)が進んでいるかも審査でチェックされます。

事業計画・開業性評価

事業計画では、「誰に、何を、どのように提供するか」「どれくらい売上が見込めるのか」といった点が論理的に整理されているかが問われます。加えて、市場調査や競合分析など、売上や利益の根拠となるデータがあると信頼性が高まります。

財務計画と資金繰り表

売上・支出・利益の見通しを数字で示し、それが現実的であるかどうかが評価されます。特に、毎月の資金繰りや返済原資が明確に示されていることが求められます。数字に整合性があり、無理のない返済計画であることが重要です。

代表個人の借入や信用情報

創業前であっても、代表者個人の過去の借入状況やクレジットカード・ローンなどの支払履歴は信用情報機関で確認されます。遅延や未払い履歴がある場合、審査にマイナス影響を与えることがあるため、事前に確認しておくと安心です。

成長期の融資の審査ポイント

創業期を乗り越え、事業が軌道に乗ってきたら、さらなる成長のための融資を検討する場面が出てきます。成長期の融資では、事業性などベースの部分は創業期と共通した観点が見られるものの、一部評価されるポイントが変化します。

決算書と財務指標

成長期では、過去の事業実績も審査項目として重要となり、直近2〜3期分の決算書(または確定申告書)の財務内容が確認されます。売上や利益の安定性、自己資本比率、債務償還年数、流動比率など、さまざまな財務指標から会社の健全性が判断されます。黒字かどうかだけでなく、資金繰りや財務構造が健全かどうかが重要です。

これまでの返済実績と資金使途の合理性

すでに融資を受けている場合、その返済実績がしっかりしているかどうかが見られます。遅延がなく、かつ前回の融資が実際に事業の成長につながっていることが確認できれば、金融機関からの信頼が高まります。資金使途に無駄がなく、計画どおりに活用されていることも重要な評価ポイントです。

追加融資の必要性・借入額の妥当性

今回の融資が本当に必要なものか、借入額が事業規模や収益見込みに対して妥当であるかがチェックされます。設備投資であれば、投資後の収益改善が説明できるか、運転資金であれば売上が増加したときに収益から賄える内容なのかなど、目的と金額のバランスが問われます。

担保・保証人・信用情報

融資額が大きくなるほど、担保や連帯保証人を求められるケースが増えてきます。不動産や売掛金などを担保として提供できるか、また代表者個人の信用情報に問題がないかも引き続き確認されます。過去の金融取引履歴や、現在の借入状況が審査対象となります。

事業計画書の作成要点

事業計画書は、単なる形式的な資料ではなく、事業の信頼性と将来性をアピールするための重要なツールです。以下のような点を押さえて作成しましょう。

  • 市場調査と競合分析
    「どの市場で、誰と競争し、どう差別化するか」を明確に。業界データや競合の価格帯、サービス比較など、根拠ある情報を添えて説得力を高めましょう。
  • 売上・利益・返済原資の算出根拠
    「いくら売れるのか」「その収益からいくら返済できるのか」を具体的に。架空の数字でなく、過去の実績や取引先候補の情報、契約の有無などで裏付けすることが重要です。
  • リスク対応策
    楽観的な計画だけでは信頼されません。「売上が想定の80%にしか達しなかった場合」などのリスク想定と、その際の対応策まで記載できると、より現実的な計画として評価されます。

審査通過を左右する“人物評価”

金融機関は、「誰にお金を貸すのか」を非常に重視します。事業主自身の信頼性が、融資の可否を大きく左右します。

  • 経歴・スキル・業界経験
    創業者がどんな経験・実績を持っているかは重要な審査ポイントです。関連業界での勤務経験、資格、過去の起業経験などは、事業の実行力の裏付けになります。
  • 面談対応と人柄
    面談では、事業計画の説明が「自分の言葉」でできているか、相手の質問に冷静かつ的確に答えられるか、誠実さや熱意が伝わるかといった“人物評価”が行われます。銀行の融資担当者から見て「この人なら安心して貸せる」と思ってもらえるかが、最終的な鍵となるのです。

金融機関の選び方と関係構築

融資が下りるか否かや、いくら融資を受けられるかは、「どの金融機関に相談するか」でも大きく左右されます。特徴を理解して選びましょう。

  • 金融機関の使い分け
    日本政策金融公庫は創業期に強く、無担保・無保証人で利用しやすい特徴があります。信用金庫・信用組合は地域密着型で親身な対応が期待でき、小規模事業者に向いています。地方銀行・都市銀行は事業規模がある程度大きくなってからの選択肢ですが、金利面で有利なことが多いです。
  • 日頃からの関係構築
    日常的に資金の相談をしたり、業況報告をこまめに行うことで、「顔の見える経営者」として信頼されやすくなります。金融機関との関係構築は、いざという時の資金調達を円滑にします。

【まとめ】計画力と人間力が審査を動かす鍵

融資審査は、単に書類のチェックだけではなく、事業の継続性・収益性・信頼性・人物力すべてが評価される総合的なプロセスです。

創業期には計画と自己資金、成長期には実績と収益性が問われます。さらに、計画の根拠・数字の整合性・人柄や金融機関との関係も重要です。

今回の6つの視点を押さえて、しっかりと準備すれば、融資の成功確率は大きく高まります。事業の未来のためにも、計画的な資金調達を目指しましょう。

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