成長期に使える制度

事業が順調に軌道に乗り始めた「成長期」こそ、財務面の舵取りが今後の明暗を分ける重要な局面でございます。売上が増加する一方で、支出やリスクも比例して拡大いたします。このフェーズにおいて適切なお金の管理を行うことは、経営基盤を盤石にするうえで欠かせない要素となります。本稿では、創業支援の現場で数多くの企業成長に携わってまいりました立場から、成長期における資金管理の要点を3つに絞って解説いたします。

目次

成長期のお金管理で気を付ける3つのこと

大きく紹介すると下記3つになります。

  1. キャッシュフローの安定化:黒字倒産を防ぐ
  2. 資金調達の選択肢を広げておこう
  3. 組織体制の強化に対応できる基盤づくり

それでは詳しく紹介します。

キャッシュフローの安定化

健全なキャッシュフローは、企業の生命線とも申せましょう。利益が出ているにもかかわらず、資金繰りが苦しくなるという事例は決して少なくありません。以下の2点が特に重要です。

売掛金の回収サイクルを見直す

売上の増加に伴い、売掛金の回収遅延が資金不足を招く可能性がございます。取引先との条件見直し、回収サイトの短縮、与信管理の強化などにより、手元資金の安定化を図ることが肝要でございます。

資金調達の選択肢を広げる

成長投資には相応の資金が必要です。金融機関からの融資に加え、補助金・助成金、クラウドファンディング、リースなど、多様な調達手段を検討することにより、資金調達リスクの分散が可能となります。

利益の確保と業務量のバランスを調整する

業務量が急増する成長期には、利益率の低下や過剰業務による疲弊が懸念されます。ここでは、戦略的に「質」を高める視点が求められます。

粗利率の維持・向上を意識する

単なる売上拡大にとどまらず、利益構造そのものを見直す必要がございます。単価の見直しやコスト削減、付加価値の創出などを通じて、粗利率の健全な水準を維持することが求められます。

将来を見据えた戦略を立てる

現状の売上に一喜一憂せず、中長期の視点で事業構造を再設計することが重要です。新規事業への投資、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、人的資源への再投資など、将来を見据えた布石を打つことが、持続的成長への鍵となります。

組織体制の強化

事業拡大に伴い、個人経営の延長線では対応が難しくなってまいります。特に「管理部門」の整備は成長を支える土台であり、後回しにすべきではございません。

経理財務部門の強化

財務数値の可視化、月次決算の精度向上、資金繰り表の作成などを通じて、経営の判断精度を高める仕組みづくりが重要でございます。外部の専門家と連携しながら内製化を目指すことも一手です。

内部統制の構築

売上やコスト管理、労務管理など、組織運営におけるガバナンス体制の確立が求められます。業務フローの明文化、権限分掌、チェック体制の整備など、組織的な仕組みで再現性と継続性を担保いたします。

まとめ

企業が「成長する」ということは、単に売上を伸ばすことだけではございません。キャッシュフローの安定、利益構造の強化、そして組織基盤の整備という三位一体の視点を持つことで、成長はより持続可能なものとなります。私たちは、こうした成長企業の歩みを伴走型で支援してまいりました。御社のさらなる発展に向けて、ぜひご相談いただければと存じます。

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